向けられた背中

 天馬を駆り、空の海を飛ぶ。
 文字通り、空飛ぶ馬に騎乗し、何もない空間を飛翔する。

 螺呪羅は桃色の鎧を身にまとったまま、天馬の中でも極上とされる血筋の馬を飛ばして、側近の数人と勝絶を離れ、世界の中心と言われる須弥山の麓、煩悩京へと急いでいた。地底からこの巨大な空へと強風がたたきつけられ、行く手を遮ろうとするが、そんなことはかまってられない。

(俺の偽物が……那唖挫に危害を加えた……)
 それだけで、螺呪羅は頭が煮えくり返りそうだった。
 その燃え上がる怒りを目の前の敵にたたきつけ、普通だったらやらないような手段までとって、予想以上の速さで勝絶を攻め滅ぼしたのはいいが。目下のところ、普通だったらとらない空路をとっているため、なかなか危険な状態である。

 妖邪界。
 妖邪大陸。

 妖邪大陸と呼ばれる、空に浮かぶ大陸は一つではない。妖邪帝国が最初に統一した大陸は一般に煩悩京と呼ばれ、須弥山の麓で世界統一を唱えて武力と文化の中心地となっている。

 その他にも、主立ったもので、東西南北に「空に浮かぶ大陸」があり、そこには二つから三つほどの国が栄えている事が確認されていた。そして、大陸だけではなく、宇宙空間で言うならば、アステロイドベルトのような群島があったり、風と岩が渦巻く海流のような場所があったり、難路と呼ばれる場所もあれば、安全なルートもある。そしてその全ては解明されてはいない。

 ここは、地図さえも定かではない、未開の世界なのだ。
 それでも、勇気ある男達の何人かが、「空路の開発」に挑み、「世界の果てを見る」夢を抱いて空の海へ出帆した。死んだ男も多かったが生きて帰った者もいた。彼らが作った地図のいくつかを、情報が命の螺呪羅は高額で買い取った。

 その地図の中に、「難路ではあるが近道」とされる書き込みがいくつかあり、螺呪羅は一か八かそれを信じて、一刻も早く煩悩京に戻るため、強風と飛んでくる岩を敵に回しながら、腹心の部下とともに天馬で駆けていく。


 その頭には、煩悩京に残してきた数々の部下の顔もあれば、阿羅醐城へどう説明するおかということもある。だが何よりも、可愛い下の魔将達がどんな想いでいるかという事だった。那唖挫が斬られて、案の定ブチギレた悪奴弥守が蘇生の息を使った……それは十分のありうることだし、あいつらだったらそうするだろう。

 国、民の事も何もかもが、苦労性の彼には気がかりでならなかった。とにかく、一分一秒でもいいから早く、煩悩京に戻らなくてはならない。


(しかし、何故に、この世界はこんな形をしているのだろうか……須弥山という世界の中心の周りに、本来ある形がいびつになり、壊れている……月も星も、あの太陽さえも、どのように浮かび、どのように沈むのか……俺はそれを知りたいが……それは……)

 螺呪羅は胸が熱くうずくのを感じた。それは、悪奴弥守を抱くときとも那唖挫を抱くときとも全く違ううずきだった。実際に彼は二十歳程度の肉体を持つが精神はかなりの高齢である。それなのに、魂まで随分と若返った気持ちだった。

(阿羅醐様と、世界統一を成し遂げたあとだ……我々が世界を掌握し、そして世界の秘密を解き明かす……きっとその時が来るだろうし、俺も、悪奴弥守も、那唖挫も、そして朱天も、それを夢見て戦う……)


 そのとき、前方から小型の岩が風とともに吹っ飛んで来たので、螺呪羅は機敏に天馬を操りそれをかわした。次々に飛んでくる、岩、石、そしてたたきつけてくるような風。
 それに対して、螺呪羅は、不意に--銃を抜いた。

「こちらへ来い、小次郎!!」
「はいっ」

 小次郎は、騎乗中の天馬から、恐ろしい脚力で飛び越え、螺呪羅の天馬に飛びついた。一体どういう運動神経かと思うが、並大抵の曲芸師より変則的かつ運動能力が高いのが忍びである。

 聞き分けのいい小次郎の天馬は、そのまま螺呪羅たちについて飛んでくる。

 そのまま体を入れ替え、小次郎が前に乗って、天馬の手綱を握る。その後ろから螺呪羅が銃を抱え、襲い来る岩に向かい、狙撃した。

 途端に爆発するように粉々に飛び散る岩。

 小次郎は飛んでくる細かいつぶてが気に入らないようで顔をしかめるが、天馬の騎乗テクニックは確かなもので、うまく乗りこなしながらかわしていく。

 すると心得たもので、小次郎の親友の源左が、「呪歌」を歌い上げ始めた。本職にはかなわないが、まじないの言霊を編み上げた歌は、聞く者の能力を極端にあげる。螺呪羅と小次郎の視力、聴力だけではなく腕力までも、次々に底上げされていった。

 そのまま、螺呪羅は、銃で次々に飛んで迫ってくる岩を狙撃して破壊し、そのまま難所を突っ走っていった。

 銃を操る魔将は螺呪羅の他にもう一人いる。
 悪奴弥守だ。

 どちらの銃の腕が強いかといえば、人は皆、悪奴弥守と答えるだろう。確かに、部下を使えばそうだ。闇神殿には、手練れの狩人が何人もいて、彼らの追撃能力や破壊力は、計り知れない。皆、それを想像するのだ。

 だが、魔将単体としての狙撃力で言えば、それが(隠れて)最強なのは--螺呪羅だ。
 その片目の裏で何を考えているかわからない顔をして、螺呪羅は率先して部下を守るためにも銃を抜き、片っ端から岩を打ち砕きながら、迫り来る風を受け止めながら、前進していった。

 小次郎はそんな螺呪羅を背中にかばいつつ、天馬に二人分の命を乗せて、とんでもない騎乗テクニックを見せつける。
 同じく源左は、喉が潰れるまで、「呪歌」で二人を補佐した。螺呪羅と側近二人が、考えられないような速度で煩悩京入りすることが出来たのは、そういうわけだった。

 三人の団結する想いと、螺呪羅の苦労性と愛執。
 そして、何よりも、空の海で地図を作り、夢を描いた先達の偉大なる知恵と勇気のおかげであった……。



 螺呪羅が蓮華殿に帰ったのは、煩悩京(妖邪大陸の一つ)に日が沈む直前だった。
 蓮華殿の方は、昼間に闇神殿とやり合ったばかりであるから、それはもう螺呪羅の登場に喜んだが、同時に恐怖した。
 何しろ、一番目の魔将は仕事が出来る男なので、自分の要求する水準に達さない部下には本当に厳しいのである。
 理由はどうあれ、黄雲大路まで闇神殿を連れてきて(螺呪羅から見ればそうなる)、悪奴弥守の代行であろうヤヅカや、まだ子供のアイヌと大喧嘩するなどとあるまじきことであった。
 当たり前だが、螺呪羅は、御頭として、叱りつけた。説教した。那唖挫じゃないが、とてもじゃないが、煩悩京の民に示しのつくことではない。

 もう帰って来るなり頭が痛い。自分の偽物問題もあるが、なんで部下がそんなことになったんだか、事情も聞かなければならなかった。弥助は見かけはオタクだが中身は落ち着きがあってしっかり者だから留守居を任せたようなものなのに、一体何があったのか。

 そういう訳で、蓮華殿に戻ったのはいいのだが、螺呪羅は弥助と黒兵衛から聞き取り調査と説教で時間をとられた。休憩する暇もなく動き回る男、螺呪羅。


 そうしているうちに話を聞きたい那唖挫の方から今度は女薬師のハルが見舞いの品が届いて探りを入れてくるやら、鬼顔堂は祝勝と聞きましたと酒を届けてくるやら(こっちも腹芸したいに決まってる)、阿羅醐城からはいつ登城出来るかという話やら、報連相がてんこもりになっていく。パソコンがある時代でもないので、全て螺呪羅が小次郎と処理しなければならなかった。

 那唖挫は自分が直接、螺呪羅に挨拶に行きたかったのだが、そこは我慢した。昼間の騒ぎの時に、自分がヒステリーを起こしたことは、恐らく弥助の口から伝わるだろう。当たり前だが、人民の前で感情的に怒鳴り散らしたと聞いたら、螺呪羅は那唖挫も搾り取るに決まってる。それはイヤなので、ハルを回して螺呪羅がどんな調子か探らせていた。

 そういう訳で、鈍感なのは闇神殿だけであった……。



 闇神殿では、悪奴弥守が、自分の寝室で昏々と眠り続けていた。
 悪奴弥守の寝室全体には、阿羅醐から授かった神聖結界が張られている。それは、悪奴弥守の心臓と直結しており、恐らく煩悩京最強の回復力を誇る暗闇の空間であった。
 そこには一点の光も差し込まず、本当に静寂の闇だけが安息の眠りに誘ってくる。

 悪奴弥守はそこで、蘇生の息を使った分--那唖挫の受けた毒蜃のダメージを代替わりした分、死の苦しみを味わいながら眠っている。いつかは覚醒するだろうが、それが一体”いつなのか”は、誰にもわからない。

 気休めに、闇神殿の巫女達が卜占をしてみたが、どれもバラバラの期日で、はっきりしたことは分からなかった。

 ヤヅカは昼間の騒ぎはそれなりに反省しつつ、悪奴弥守の寝所の前に座り込み、彼が起きるのを待っていた。

 螺呪羅が帰ってきたという話は聞いていたし、挨拶や見舞いの品ぐらいと思うが、昼間、さっきの今なのでどうにも決まりが悪かった。

(幻魔将は、嫌いだ……)
 ヤヅカは本当にそう思っている。悪奴弥守がかわいがっており、実際に実力者のヤヅカが、螺呪羅を嫌うと、どうしても闇神殿全体の空気として、嫌蓮華殿の方に向くのだが、ヤヅカはそれをコントロール出来ていなかった。

(幻魔将は、転生してきたばかりの時……嫌がる長を騙して薬を飲ませて……おかしなことをした。だから、嫌いだ。だから、俺は、幻魔将を許さない)

 護衛として弓弦をしっかりと握りしめながら、ヤヅカはその気持ちを新たした。ヤヅカはそのときも、悪奴弥守の護衛として、室外で弓を持っていた。だから、螺呪羅を撃てば撃てたのだが、螺呪羅の持っている幻術に翻弄され、腕に力が入らず、どうすることも出来なくなった。
 障子を挟んですぐ隣で、闇魔将軍のトップが空前絶後の危機にあっているのに、ヤヅカは全く無能であった。ただ犬のように喚くだけで何も出来なかった。

 翌朝、螺呪羅は、どうすることも出来ずに廊下にへたりこんでいるヤヅカが、毒づくのをせせら笑って去って行った。悪奴弥守は最後には気絶も同然という始末だった。

 そういう訳で、螺呪羅がヤヅカに好かれる訳がないし、いくら若気の至りといっても、やっていいことと悪いことはあるのである。

 しかもそれが、壱越の国を幻魔将・闇魔将の連合軍で滅ぼした直後、帰り道でお互いの首を狙いながらの関係性の時のこと。悪奴弥守はもうこの時点で、螺呪羅の事が大嫌いになってしまったのである。少なくとも公式としてそうである。


 何故に螺呪羅がそんなことをしでかしたのかというと、色々と事情はあるのだが、どうも、その後の行動を見てみると、一言で言うと悪奴弥守に惚れたから、気に入ったから、やっちゃえば既成事実が出来るんだから……程度の気持ちだったと思われる。どうやら、そういうことが常識として行われてもおかしくない階級の出だったらしいのだ。本人覚えていないが、つまり、前世じゃ「育ちの悪い職業のお方」と想定される。
 一方、悪奴弥守の方は、どうも、宗教的なものか、あるいは何かの事情があって、人が人を犯すなどと言語道断という部族の出と思われ、貞操観念が天と地とというぐらいかけ離れていたのだ。しかもこちらも転生の後は、自分の持っていたそういう知識や記憶を持っていない。つまり、螺呪羅から見ればただの感情論である。

 ちなみにヤヅカにしてみれば、彼の貞操観念は悪奴弥守の方に近く、とにかく、騙して変な薬飲ませて変な事やった螺呪羅が悪い、螺呪羅が螺呪羅がぜーんぶ悪い! という事で片付けられていた。
 だから百回ぐらい矢で射ようとして、全てかわされているのである。



 そうはいっても、ヤヅカにも、螺呪羅が勝絶に勝利して、最短距離で空の海の難所を越え、煩悩京入りを果たしたという事は聞いている。螺呪羅の偽物が出たからだろう。
 そういうときまで闇神殿がまるで無視をするのはどうだろう、と思うのだ。今は悪奴弥守が昏倒しているときだしヤヅカが責任者である。

「長がかっこ悪く思われるのは……よくない……」
 ぼそっとヤヅカは呟いた。要はそこで悩んでいたところなのである。何はともあれ、あの蓮華殿に、闇神殿がかっこ悪い事をしたとか、闇神殿にマイナスがつくような事をしたとか、それだけは避けたいのだ。蓮華殿を丸無視するのはいつものことだが、この状況で、瑠璃光殿とも歩調を合わせずグレまくるのは、ちょっと格好がつかないかもしれない。
 悪奴弥守が起きた時にがっかりするような事はしたくない。

「長だったらどうする……長、早く起きてくれないか……」
 ぼそぼそと独り言を続けて、ヤヅカは寝所の前で弓矢の手入れを始めた。ヤヅカは、悩み事がある時はいつもゆっくり丁寧に弓の手入れをするのである。それでだいぶ気が落ち着くのだ。

「兄者、何してる」
「兄者、蓮華殿が凄い浮かれ騒ぎだ」
 そうしていると、同じくアイヌの血を引く双子のハギとハズが寄ってきて、ヤヅカの左右に座った。闇神殿にも様々な人種の人間がいるが、ヤヅカは特に、この双子の子供と仲がよい。自分たちでもよく覚えていないのだが、恐らく、戦国時代かそれ以前に、アイヌの一部の部族で戦があって、戦死した子供達が自分たちだろうと、本人同士は話し合っていた。顔立ちも似ており、恐らく親戚同士だったんではと、言っているぐらいだ。

「兄者、蓮華殿に挨拶にいくのか」
「いかぬ」
「行かないと、後で長が困るかもしれない」
「それは俺も困るが……」
 右耳にピアスをつけているハギとそんな話をしていると、廊下の隅で人の声が聞こえた。

 笑い声。

「誰だっ」
 ハズが、廊下の暗がりに向かって誰何した。既に星が出ている時間だった。月はなく、庭から廊下に駆けて夜の闇だ。

「本当に闇神殿の犬の忠義には恐れ入る」
 そこにいるのは艶やかな桃色の長着を美しく着こなした男であった。

 幻魔将・螺呪羅。

 ヤヅカと双子達は息をのむ。アイヌ達には、螺呪羅の見分けなどつくわけがない。一瞬、本物か偽物かと考えて、動きが鈍った。

 その間に、『螺呪羅』は距離を詰めた。本当に一瞬の出来事だった。予備動作も何もなく、ヤヅカの前……即ち、寝所の戸口の前まで、螺呪羅は音もなく移動した。
 その美しい顔と迫ってくる『強さ』。ヤヅカはカンが鋭い。本能的に、相手が、自分よりも遙かに強者だと分かった。

 同時に判断が追いついた。本物か、偽物かなど関係ない。
 いずれ、螺呪羅が悪奴弥守の寝所に迫るということは、この『螺呪羅』は敵だ。外敵から魔将を守るのは、妖邪兵の務めだ。

 弓矢を使える間合いではない。ヤヅカは咄嗟に、全身に魔力を巡らせ、巫呪を唱えた。
 闇神殿独特の魔道が発動する。その間、ヤヅカの体には、乱紋が浮かぶ。それが、何故かアイヌの入れ墨と勘違いされることもあるが、魔力が極端に強く流れている部分が、皮膚の色を輝かせるためそう見えるだけだ。
 それぐらい、ヤヅカ--そしてハギとハズは、闇魔将軍の手練れであった。外見は子供に見えても。
 狩人、獣使いとしてだけでなく、彼らは近接攻撃においては……”魔戦士”とあだ名されている。

 魔力を巡らせ、腕力をあげると、ヤヅカは拳に氷を飛び散らせた。感覚的には絶対零度を思わせる冷気を両腕から放ち、防御と攻撃全ての意味で氷をまといながら、螺呪羅へと殴りかかった。もしも当たっていれば、螺呪羅の体の一部を凍り付かせ、冷気による麻痺で動きを鈍らせる事が出来たかもしれない。

 しかし、かすりもしなかった。
 さながら踊るようないなすような優雅な動きで、『螺呪羅』はヤヅカ渾身の冷気攻撃を避け、その首筋に遊ぶように手刀を当てた。

「ぐっ」
 本当にその一撃でヤヅカはもんどりを打って廊下に倒れた。

 これが、魔将と妖邪兵の差。決してかなわない能力差だ。

 それでもヤヅカは挫けなかった。惨めに床に倒れ伏しても立ち上がり、アイヌ語で螺呪羅を叩きながら、さらに拳を振り上げた。

「兄者!!」
 そこで動いたのが、なんと、ハギとハズだった。
 『螺呪羅』ではなく、ヤヅカの両腕に飛びついた。ハギとハズの両腕にまでヤヅカの氷がしみ通る。

「兄者、だめだ、かなう相手ではない!」
「何を--お前達、俺に逆らうか!!」
「兄者、今俺たちが、瑠璃光殿に使いを出す! 毒魔将が来るまで待て!!」

 意外にも、子供であるハギの方が冷静だった。確かに、螺呪羅にかなう相手と言えば、今ここで寝ている悪奴弥守の他は、那唖挫しかない。
 悔しさに、ヤヅカは歯がみしながら、『螺呪羅』をにらみつけた。ちなみに、『螺呪羅』はアイヌ語がわかっているのかいないのか、余裕の笑みを浮かべてヤヅカ達を見下ろし、堂々とその目の前で、悪奴弥守の寝所--神聖なる結界の中へと入っていった。

「くそっ……」
 本当ならもっと下品な言葉を使いたいのだろうが、それも出来ずにヤヅカは苦渋の表情を見せる。
「兄者、俺とハズが、すぐに瑠璃光殿に行ってくるから、兄者はここで、長を守っていてくれ。俺たちは、絶対に、一番早く毒魔将を連れてくる」
 そんなヤヅカをハギとハズがいたわる。

「分かった。頼むぞ、お前ら」

 ヤヅカはやっと顔を上げ、ハギとハズの頭をぐりぐりと撫でた。



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